第73回  “1992年 パース”

 
1992年 パース(西オーストラリア)



デビューして6年目、20年前の僕です。まだ元気いっぱいで、身体から精気が迸り出ている感じです。  
西オーストラリアのパースに女房殿と一緒に行った僕は、帽子も被らず覚えたばかりのゴルフに熱中しました。
ラフの林の中からエミュがニューと顔を出し、フェアウエイをカンガルーの群れが横切る、長閑なゴルフ場です。
前の組は上手い人たちだったので、躊躇もせずに高いボールを打ってカンガルーの群れの上を越えて行きましたが、女房殿はともかく僕はそういうわけには行きません。  
もしボールを当てて、カンガルーが目を回してしまったら大変です。横切るのをジッと待っていたのに、カンガルーは立ち止まって可愛い目で僕を見詰め続けます。
写真でも分かるように、当時の僕は自分でもホレボレするほどの男っぷりでしたから、「あ。あの群れはみんなメスだ。俺の方を見てウットリしている」なんて呟きました。  

勘違い出来た若い頃の自分が懐かしくてなりません。強い自惚れも物事を推し進める時のパワーとなりました。
フェアウエイを横切ろうとしていたカンガルーの群れが、立ち止まって僕と女房殿を見ていたのは、多分東洋人が珍しかったのでしょう。