第68回  “国宝級のネコ”

 
(2011年5月 自宅)
写真提供:朝日新聞社


ウニも満五歳になりました。尻尾の長さは三歳の時と同じ、三十四センチですが、女房殿の厳重なカロリー管理にもかかわらず、体重は6キロに増えました。
これはウニの所為ではなく、僕が女房殿の目を盗んで自分のおかずや晩酌のツマミを、ウニの鼻先に押し付けるからです。お行儀が良くて慎重なネコですから、ウニはいきなりガブリついたりしません。  
まず慎重に匂いを嗅ぎ、ピンクの舌でちょっと舐めてみて、問題がないと分かれば驚くほど鋭い歯が揃った口を開けて次の瞬間には、おかずが胃の中に落ちているのです。テレビで見るライオンやチータは同じ猫科なのに、どうしてあんなにグチャグチャ時間を掛けて汚く御飯を食べるのでしょう。  
もしオリンピックに「御飯を速く綺麗に食べる」という種目があれば、ウニは四年ごとに金メダルを獲ります。  

僕はウニのことを、いつも“世界で三本の指に入る可愛いネコだ”と言って自慢していましたが、最近女房殿が取っている「ねこのきもち」という雑誌を見て、ヨソンチのネコも結構可愛いと知りました。だからこれからは“世界で十本の指に入るネコ”と言うようにします。 暖かくなってからウニはベランダに出ると、胸を反らして鼻を高くあげ、目を細めて空気を吸います。匂いを嗅いでいるのではありません。外の自然の空気を、胸いっぱい吸い込んでいるのです。  
何をしていてもウニは可愛い奴で、僕は五年見続けてもちっとも飽きません。真面目くさった顔でウンチをしていても、寝返りを打った拍子にオナラをしても、ただソファーで丸くなって寝ていても可愛いんですから、国宝級のネコなんです。  
皆さん、僕はバカでしょうか?