第67回  “スミソニアン博物館”

 
(ワシントンD.C. 1988年)


僕は乗り物好きですが、特に飛行機が大好きです。前に回って一機づつよく見ると、顔つきに違いがあるのが分かります。平和で穏やかな顔をしているのはダグラスで、ハンサムで垢抜けているのはロッキードです。
カメラを構えた友人が声を掛けるまで、僕が見詰めていたのはダグラスDC-Vですが、ひょっとするとDC-Uかも知れません。
僕より年寄りのこのDC-Vは、1970年代まで南米やアフリカで定期航空路線をブンブン飛んでいました。飛行機は自動車と一緒で、ちゃんとパーツを交換して整備すれば、100年でも平気で働いてくれるのです。
旅客機の歴史に燦然と輝くDC-Vは、操縦席にも客室にも与圧なんてありません。だからDC-Vは渡り鳥と同じぐらいの高度で悠然と飛行するのです。スピードも時速200キロが精一杯で、同じプロペラ機でも600キロ近く出るゼロ戦とは比べ物になりません。  
商人や相場師はコンコルドでもなんでも乗っていればいいんです。旅は速けりゃいいってモンではありません。僕のような半隠居の年寄りには、鷲や白鳥、それに雲や虹と一緒に飛ぶ最後のプロペラ機DC-YやZの方が楽しいんです。

スミソニアン博物館は無料です。いろんな州のナンバープレートを付けた橙色のスクールバスが、全米の子供たちを乗せて集まります。