第64回  “追跡”

 
(1993年 日本テレビ)


僕は足掛け七年、青島幸男さんと高見知佳ちゃんが司会をやっていた日テレの「追跡」という番組で、“金曜パートナー”をやりました。このお二人は、月曜日から金曜日の帯の生番組のレギュラーでしたから大変だったと思いますが、僕は金曜日だけですから楽しいばっかりでした。
作家になったばかりの僕は、テレビ局のスタジオや映画の撮影所が大好きでした。それまでは人に嫌な目で見られるゴロツキでしたが、こういうところのスタッフはみんな平気なのです。心が広くて清濁あわせ持つ…なんてことではどうもないようで、善悪とか常識に対する感覚が麻痺か欠如している人たちだと、暫くすると僕には分かったのです。
足を洗ったばかりの僕がそう思ったのですから、はっきり言ってテレビや映画の世界は、まともではないというか異常でした。「ああ、この人たちはカタギじゃないんだ」と僕は思いました。

写真の前列にいらっしゃる三人の女の方は、番組にお招きしたゲストの方たちでしょう。一期一会なんて言えば格好がいいのですが、一度お目にかかっただけですから、何をなさる方だったのか、お名前は勿論、全く覚えていません。
「追跡」が終わる時、高見知佳ちゃんは、「青島さんは都知事になるからいいけど、あたしは婚期を逸しちゃったわよ」なんて言いました。青島さんのお弔いで知佳ちゃんに久し振りに会ったら、とてもチャーミングな奥様になっていました。沖縄で所帯を持っていると知佳ちゃんは言って、とても幸せそうでした。
風に吹かれる浮き草のような世界で、高見知佳ちゃんは一本筋が通った女でした。小さな松茸一本で、六人分の松茸御飯を美味しく作る術を教えてくれたのも知佳ちゃんです。
皆様にもお教えしましょう。お米を炊く時に水ではなく“松茸のお吸い物”で炊いて、松茸はスライスして御飯の上に載せるのです。