第62回  “糟糠のネコたち”

 
昭和60年(川崎)


この写真は、昭和60年の暑中見舞い用のハガキに使ったものです。
足を洗ったばかりで、作家だと言ってはみても、「室内」の“府中木工場の面々”という月刊誌の連載と、たまに短篇小説の原稿依頼があるだけで、これではとてもやっていけたものではありません。飼い猫のエサ代にも苦労しました。
昭和56年と57年は競馬の予想をやって、どうにか喰っていたのですが、山本夏彦さんの弟子にしていただいてからは、それも止めてしまいました。土曜と日曜しかやらない競馬でも、儲けさせなければ客がすぐ見限る商売ですから、下調べや情報を集めるのが大変だったのです。
前歴が怪し過ぎるので、単行本を出してくれる出版社はありません。昭和59年から、文藝春秋が「塀の中の懲りない面々」を出してくれた昭和61年までの3年間が僕の胸突き八丁でした。
向かって左から、牝の“きのこ”、牡の“ジミー”仔猫の“シッポナ”そして牝の“ポン子”です。後に“きのこ”は中央公論で僕の最初で最後の恋愛小説のヒロインになりました。