第41回  “ばんえい競馬場”

 
1993年


昭和十二年生まれと十三年生まれでは、僅か一年の違いで、致命的な差があります。 橋本龍太郎や小渕恵三、それに森喜朗は総理大臣になって恥を曝しましたが、与謝野馨は何時まで政治屋をやっても、総理大臣にはなれそうもありません。
掻きたくても恥が掻けないのが、僕は気の毒で堪りません。

しかし、これには本人も政策秘書も、誰も気が付いていない秘密があるんです。
戦争が終わった時、国民学校の二年生だった僕たちは、軍歌も三番まで唱えるし、教育勅語だって覚えていて、それに嬉しい時にバンザイをする習慣が身に付いています。
ひとつ違いの与謝野馨は、総理大臣になっても、おそらくバンザイはやらないでしょう。
だから、総理大臣にはなれないんです。
どうです、僕の言うことは論理的だし、神秘的とさえ言えるでしょう。

僕は政治屋ではなく、元バクチ打ちですから、総理大臣にはなりませんでしたが、嬉しければいたる所で、両手を高く挙げて威勢良く、古式に則ったバンザイをやります。
この写真は、十四年前の北海道の北見競馬場です。
ペルシュロンとかブリトンという重種(サラブレッドやアラブは軽種です)の巨きな馬が、橇を挽いて走るばんえい競馬で、大当たりした僕がバンザイをしています。
僕の後ろで背中を見せている男が、競馬本を総計千万部も売って、当時「競馬本の帝王」と呼ばれた故高本公夫です。
僕は若い頃から競馬で儲けると、競馬場の一番高い所に登ってバンザイをやる癖がありました。つい最近まで、僕だけではなく昭和十二年生まれの男は、皆、同じことをやると思って疑いもしなかったのですが、どうもそれは僕の思い違いのようです。

もしかすると僕は、かなり変わった男なのかも知れません。