第207回 『オバマがケツ持ちのクーデター』


カイロで反政府派のデモがあって、それをエジプト軍が鎮圧したと俺が思っていたら、話はそんな単純なことではなかったらしい。  
60年前にカイロへ行った俺だが、記憶が薄れている上に当然のことだが街の様子も変わっていて、テレビに怒った市民と街並みが映っても、全く見覚えがない。  
焦げ茶色の婆さまが映るたびに、俺は未練たらしく、もしかして昔の女かと思うのだから我ながら浅ましくておぞましいのだ。  
14歳でインドから嫁に来て、16歳で大金持ちの亭主に死なれて未亡人になった、俺の昔の恋人はどうしているのだろう。俺に、鳩の卵ほどの大きさのダイヤモンドを婚約の印にくれたメリーは、多分もう生きてはいないだろう。老い耄れた俺はその女の名前が、メリーだったかメアリーだったか、実ははっきり思い出せない。  
三島由起夫さんは、俺がそのダイヤモンドを別れるとき女に返したと知って、「複雑な彼」を書いた。本棚に行って、「複雑な彼」の頁をめくれば女の名前は分かるのだが、もう面倒臭いのでしない。  

今日の話題はダイヤモンドや俺の助平自慢じゃなくて、クーデターだ。革命なんだ。  
軍が身柄を拘束したと伝えられる、モルシという大統領は、初の民主的な選挙で去年5月に就任したばっかりだ。  
チュニジアで始まった“アラブの春”の流れでエジプトでも民衆が蜂起し、30年に渉るムバラク政権を倒して、やっと手に入れた新体制だったのに……だ。  
テレビの言うことは全く信じていない俺だが、テレビ朝日の「報道ステーション」によれば、これは軍部のクーデターなんだそうだ。日本のテレビは政府の公報係みたいなものだから、これは日本政府の見解を喋っているのだろう。  
アメリカは、エジプト軍に年間1300億円も援助しているという。なぜアメリカは、日本の自衛隊に命じてクーデターをやらせないのか?  
中学校の応援団長レベルの安倍晋三は、もともと学問もなければ教養も俺とどちらが上か、ぐらいの男だ。その安倍晋三が深くは考えず、周囲の人間から聞き囓ったことや、粗雑な頭で思い付いたことを子分のマスコミに報じさせる。  
俺は今や日本だけではなく地球規模の危機だと思っている。正直に言えば、もう年寄りで良かったと思うくらいだ。  
発電機のタービンを回すのに原子炉を使うなんて、他の文明先進国がやっているからといって、地震国の日本もやっていいわけではない。  
原発事故の原因も解明されず、放射能汚染を止めることも出来ず、廃炉の道筋も立てられず、核廃棄物の処理なんかどうしていいか分からないまま、原発推進にまた針を戻すのか?  
こんな大事なこと、安倍晋三の脳ミソで判断出来るわけがない。  
“再起動”のことを“再稼働”なんて言うのだから、この男は麻生元総理より漢字を知らない。麻生元総理は学習院大学を卒業しているが、安倍晋三は成蹊大学だ。俺はケイの字が今でも書けないんじゃないかと思っている。  
日本の原発はテロに対する防御が、ほとんど出来ていない。もしテロリストが原発を狙い打ちしたら、安倍晋三もマスコミや御用学者も全員「想定外だった」と言うのだろう。  
原発を再起動させた時点で、自衛隊のクーデターがあって当たり前だと俺は思っている。しかし日本では“アラブの春”は遠すぎる。  


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