第203回 『自分と似たような人がいる安心』


俺は五月で満76歳になった。数え年では77歳なので、喜寿と言うことになる。
戦前までの平均寿命は50歳台だったから、こんな歳まで生きるのは稀なことで、“喜び寿ぐ”のは分かるが、現代の高齢化社会は抱える問題が多すぎて、なんとなくそぐわない。  
そもそも俺は、こんなに長生きするとは全く思っていなかった。若い頃、あれだけ無茶な生き方をしていたし、“老後の生活”なんて人ごとみたいで想定外もいいところだ。  
しかし食べたい物を食べ、酒を呑み、頭はともかく身体も何とか動いて、どこへでも行ける現状は、神はいないと思っているから、やはりこれはとうに亡くなった両親に感謝するしかない。  
ウニも五月で7歳になった。こちらはピカピカの元気印で我が家の輝ける星だ。  

何年か前に「絶滅危惧種の遺言」という本を書いた。俺はこれまで多数派だったことが無く、いつでも少数派でそれを誇りにしていた。開き直っていたこともある。
他人と変わった意見や好みを持つと、それだけで目立つという狙いも確かにあった。味方が少なければ少ないほど、「なにクソ」と思って燃えた。
昔みんなが、「日本一の美人だ」と大合唱した女優がいた。俺は「ケッ。あんなボテボテした姿の悪い、座布団みたいに大きな顔の女優が日本一か?淡路恵子や嵯峨三智子、そうでもなければ岬マコに決まってらぁ。この田舎者ども」と喚いていた。  
淡路恵子さんはお元気だけど、岬マコさんはいかがお過ごしだろう。嵯峨三智子さんは20年も前に亡くなった。  

ほんのちょっと前まで、俺は少数派や絶滅危惧種であることが自慢だったのだが、今は少し変わった。自民党の党員やネトウヨになったのではない。常識や良識を旗印にしている偽善者集団に加わったわけでもない。  
4月28日のこのブログで、“俺の価値観”というのを載せた。普段はわざわざメールを下さる読者は、そうはいらっしゃらない俺のホームページだが、この回は違った。 今をときめく安倍晋三が連発する「……と思います」という話術を、俺は曖昧で嫌いだと書いたのに、共感して下さった方が多かったんだ。俺は文句なしで嬉しい。久し振りで胸が膨れる想いだ。
目から光線を出す金メダリストのCMを、俺は嫌いだと言ったことには、特になんの反響もなかった。  
もちろん俺の知る反響なんてほんの僅かだ。俺のブログで、「そうだ。俺も、私もそう思う」と思ってくださっても、ほとんどの方は頷くだけでお終いだ。
俺はしつこいからもう一度書く。安倍晋三 は、田中直紀や鳩山由紀夫よりほんのちょっとマシなだけで頭が悪い。  
この男はなんでも聞きかじりで考えずに行動する。日本国の首相は考えずに、思い付きや聞きかじりでやってしまう男にやらせてはいけない。
今、日本の首相が一番先にやらなければいけないことは、東電が起こした原発事故の被害と放射能汚染を解決することだ。憲法改正なんか後でゆっくり議論を尽くせばいい。 俺の考えはどうだろう。
老い耄れた俺は、同じ考えの方が多いと安心する。


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