第202回 『俺の価値観』


俺が好きな人は老若男女を問わず、自分と価値観が似ている人だ。
価値観なんて難しい字を遣わないと、易しい字しか知らない男だと思われてしまうんだ。ウソじゃない。四半世紀作家を続けていて、平易な言葉で文章を綴ると学問や教養がないからだと侮りを受けることがある。
確かに俺は知識も教養も片寄っているが、誰にでも分かる平易な文章を書けと言ってくれた、師匠・山本夏彦の教えを守って、それをずっと心掛けているんだ。  
でもこんな風潮だからテレビのインタビューを受けた普通の人でも、つい普段は遣わない畏まった、少しでも知的に聞こえる言葉でコメントしようとする。  
「東電が汚染水を垂れ流している現状を、どう思いますか?」と訊かれ、「非常に憤りを感じます。ハイ」なんて答えるんだ。普段は“腹が立つ”と言っているのに、ヨソイキでは“憤りを感じる”のだからややこしい。普通の会話の中で「私は○○に憤りを感じています」なんて、友達同士でも会社の中でも遣わないだろう。  

俺は御飯を食事、女の人を女性と躊躇わず発音し、表記する人たちが好きになれない。このことはホームページを始めた頃から俺は言っている。役所や病院で遣う言葉を自動的に遣う人は、役人の方が偉いと思い込んでいる奴隷のような奴だ。  
自民党、特に安倍晋三と菅官房長官は、「……と思います」を連発する。「原発を再起動しようと思います」なんて言うな。一国の責任ある立場の人間が、大事なことで曖昧な日本語を使うな。言うなら「原発を再起動します」とはっきり言え。俺は肝腎な所で曖昧な日本語を喋る奴を好きになれない。もう同じことを俺は60回も書いている。  
俺は読者が御存知の字と、言葉しか遣わないと決めている。読者が御存知ない隠語などを遣う時には、意味をフォローする。  

苦労知らずであまり頭の良くない男だということが、5秒間テレビを見ただけで分かる安倍晋三に期待する人は、他になにか素晴らしい所があったとしても、俺は好きになれない。
石破茂は稀代の悪相だと思っている。なにか普通じゃないものが顔に出ているとも思っている。だから石破茂を支持する人は、たとえその人が滝川クリステルさんでも、安藤美姫さんでも俺は恋には落ちない。
自民党と公明党、それに民主党と維新の会が、俺は嫌いだ。日本のマスコミは我慢の限界を超えている。  
「タバコを吸うな、野菜を喰え」と繰り返す九官鳥は、俺は飼わない。
「東京でオリンピックをやろう」と言う脳筋獣には、俺は餌をやらない。

ついでに俺の嫌いなCMを書いておく。「リーブ21」と「アルソック」、それに商品名は知らないが、「女用のカツラのTVCM」と「婆さんの保険のCM」が、俺の減量を支えている。このCMを見る度に俺は食欲が減退するんだ。
こんな価値観の老い耄れだから、俺はとても孤独だ。大好きなヤクルトと横浜は、大嫌いな巨人にラグビースコアで負ける。安藤美姫からも滝川クリステルからも、ラブレターは来ない。


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