第153回 『放射能汚染』

俺は自分が大嘘つきだから、他人が嘘や本当ではないことを言っているのが分かる。これはコアラやパンダ同士が分かり合えるのと一緒で、同じ穴のムジナだからだ。
ほとんどの日本人は善い人だから、政府や東電、テレビのアナウンサーや御用学者の言っていることを一応は信用する。  
これを書いているのは18日だが、福島の原子炉に自衛隊のヘリが上空から放水し、下からポンプ車が代わる代わる水を浴びせかけている。自衛官は被爆する危険に命懸けで立ち向かっているのだが、他に出来る手段がないと言っても、効果が上がっているとは俺には思えない。  
肝腎な使用済み核燃料のプールが、どこにどういう状態であるのか正確には分からないのに、放射能レベルが高いので僅かな時間だけ当てずっぽうに放水するのだから、イチローだってヒットなんか出来るものか。  
なぜこのプラントを建設した当時の設計者・技術者を現場に呼ばないのか?無駄に軍人である自衛官を危険に曝すな。本来自衛官は武器を取って、命懸けで敵と闘う軍人なんだぞ。突発事故や災害の時に出動するのは、有り難いし頼もしくはあるけど、本来の任務ではない。  
津波で非常用のディーゼル発電機が壊れたから、冷却水が原子炉に回らず爆発したと伝えられている。だから、これ以上の放射能の拡散を防ぐために、とりあえず水を掛けるのだと言う。発電装置だけが問題なのか、それとも冷却水を循環させるパイプや機器も損壊しているのか、俺はテレビを見続けているのにまるで分からない。  
パニックを怖れてのことと責任回避の為だろうが、テレビに映る奴らは本当のことを隠している。そんなこと顔を見りゃ分かるんだ。枝野官房長官は嘘をつく時は、顔から汗が噴き出すからすぐ分かる。この男はポーカーに向いていない。  
漏れ出した放射能の数値が、俺程度の男には理解不能だ。肺のレントゲン撮影なんか対比させる基準にはならない。レントゲン撮影はほんの何秒かだが、吸い込んでしまったプルトニウムや放射能は体内に蓄積されるんだ。  
そんなことは作家の広瀬隆に訊けば、すぐ分かる。嘘をつく奴は俺みたいな“ウソツキヅラ”をしているが、広瀬隆はしごくまっとうな顔をしている。  
テレビに映る奴らは、本当のことを隠している。いろいろ言論統制が敷かれているのだと思うが、誇り高い学者ならそれを拒否して出演しない。  
パニックは本当の情報を得られない時に起こる。
嘘があったり曖昧に誤魔化したりすると、そういうことはどこかで必ずバレるから、みんな疑心暗鬼になって心を惑わされる。
精神的にも肉体的にも余計消耗する。日本人は穏やかで我慢強く、理解力も高くて常に節度を保っている。そういう国民に向かっての嘘や誤魔化しは、ますます事態を悪化させる。  
俺は曖昧なことばかり言う御用学者と、それに保安院という変なネーミングの役人ども、ACの押し付けがましいCMに辟易している。  
「25日に開幕する」と居丈高に言うナベツネ。それに謝罪しない東京電力の清水という社長に、俺は嫌な日本人の典型を見た。
俺は原発の危険に全く無知だったことを白状する。コストは掛かっても子供の命には代えられない。地熱でも風力でも引力でもなんでもいい。
原子力に代わるエネルギー源を開発することが、科学者の使命だと思う。

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