第131回 『悪口悪たれアメアラレ』

俺は普段、他人の悪口を言わない(ホンのちょっとは言うけど…)。言わないどころか書きもしない(タマ〜に媒体によってはちょこっと書くけど…)。
NHKのBSチャンネルの女アナウンサーが、“生態系”のことを“性体型”と繰り返し喚いても(イントネーションが俺にはそう聞こえる)、俺は悪たれ一つ吐かない。
古稀を過ぎて、人間が出来たのだと思う。「…と思います」を連発するようにならなければ、オバカテレビには出られないと俺は知っている。
そして「…ではないでしょうか」とか「…と、思われてなりません」とか「…は、いかがなものか」みたいな文章を書かなければ“週刊新潮”や“週刊文春”から原稿依頼がないことも俺は承知しているが、もう僅かな原稿料でこんなみっともないことするもんか。
俺は二人と一匹の空間で口を慎み、日記にも悪口悪たれを書かずに、ここ二十年ほど平和に過ごしている(…自分ではそのつもり)。
驚いた。そんなふうにしていたからか、いくらダイエットをやっても、89.6キロから下がらない。朝起きてトイレに行ってから、寒かろうと生まれたままの姿で秤に乗ってもダメだ。ダメは按摩の目だ。売る文章のときはちゃんと“駄目はモグラの目”と書く。もう僅かな原稿料で校閲と不毛なやりとりを繰り返すのは嫌だからだ。

呆れた。熱帯魚かカナリヤほどしか食べないのに、丸三日89.6キロのままなのは、溜まった悪口で腹がパンパンに膨れているからだと、たった今俺は気が付いた。明日の朝89キロを割る為に、俺は腹に溜まっていたものをここにブチ撒ける。
昨晩見ていた“週刊新潮”に、俺が大嫌いな片山さつきが前夫の舛添要一のことを、罵っていた。読んでいたのではない。見ていたんだ。こんなウンコみたいなモン読めるもんか。
東大を出て大蔵省に入り、二十七歳のときに舛添要一と見合い結婚したのだと言う。他に二つ縁談があったけど、どちらも大蔵省は帰りが遅くなると言ったら話が流れた。でも舛添要一は、「教え子に官僚が沢山いて生活パターンはよく知っている。いくら遅くなっても構わない」と言ってくれた。なにしろ東大の助教授で、仲人も大蔵省OBの偉い人だから決めたのだと片山さつきは言う。
そして自分は勉強と役所しか知らないオボコだったと初婚の失敗を嘆く。オボコなんて可愛い言葉を遣うんじゃねぇよ。いい加減にしろ。結婚は愛に基づくものだということを、東大も大蔵省も教えなかったのか。
舛添要一は、俺は最初からニセモノだと見抜いている。どこのアンケートで、誰が“総理にしたいNo.1”に選んだんだ。俺はこんなことマスコミの嘘だと決めている。
厚労相のときも、年金問題で大袈裟に“ヤルヤル”と、オバカテレビで喚くだけだったし、豚インフルエンザのときも同じだった。オバカテレビに映る為だったら、この薄汚いネズミ男は犬のウンコでも食べる。
しかし、偉い仲人はよく見ていた。この二人は似たもの夫婦だ。別れたのが不思議でならない。
ああ、溜まっていたものを少し吐きだして、これで明日の朝、俺は小栗旬みたいにスリムになっている。  


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