第104回 『ヘベレケ大臣』

G7の後の記者会見で、中川財務大臣が世界中に恥を曝した。
俺は呑んべだから、他人様が酔っ払っているのはすぐ分かるのだが、NHKは多分この場面を“酔っていたとは思わなかった”として、放送しないかコメントを避けると思う。海外にいる時、一番ストレスが溜まるのは、こんなNHKのニュースしか見られないことだ。
NHKはニュース番組は止めてしまえ。ガラの悪いモンゴル横綱のことを、“ガラが悪過ぎて、横綱には相応しくない”と言えないのなら、NHKは相撲中継も止めてしまえ。

NHKに文句を言うために書き始めたのではないから、本題に戻る。
死んだ中川一郎の息子の昭一がやった醜態についてだ。
財務大臣や官房長官といったら、総理大臣に手が届くところだろう。もうほんの少しで日本で一番偉いヒトになれるかというところだったのに、自分のキャリアに自分で泥を塗った。
国内ならともかく(もちろん言語道断だが…)海外メディアも多く集まる国際舞台で、酔っ払って会見に出た。中川昭一は金輪際、いくらNHKや産経新聞が知らん顔をしてくれても、総理大臣にはなれない。
秘書官や番頭は何をやっていたのか。自分の親分があんなヘベレケになっていたら、何でも理由を付けて人前に曝さないのが仕事だろう。
世界同時不況の真っ只中で、日本の財務大臣がむくんだ締まりのない顔で、ロレツも回らず中学生でも話せる程度の内容をトギレトギレに支離滅裂に喋るんだから、海外メディアもア然茫然だったろう。

昭和四十五年頃だったが、ジョージ・クルーニーの伯母で歌手のローズマリー・クルーニーが酔っ払って、センターマイクの前まで歩けずに、ピアノにもたれて醜態を曝したのを俺は見たことがある。満足に歩けないのだから、声も出ない。シャウトするところも、低音を長く引っ張るところも全部、トランペットが吹き消して誤魔化した。
とても金の取れるショーでは無かったのだが、厚生年金会館を一杯にした日本人の客は大満足だったから、友人の興行だったし俺は何にも文句は言わなかったが、出口で会った音楽評論家の安倍寧が「ローズマリー・クルーニーは良かったねぇ」と、感激して言ったのには呆れた。
俺も酒で安目を売ったり、大失敗したことがある。あの時、あんなに大酒を呑んでいなければ…と、あとでホゾを噛んだり頭を抱えたことなんか数え切れないほどある。
けど、この大事な時に日本の財務大臣がヘベレケで人前に出るなんて、いくら何でも不謹慎で舐めている。
ローズマリー・クルーニーは、はっきり言って盛りを過ぎた芸人の、当人にしてみればドサ回りのステージだったから、どうということはないけれど、この自由主義経済が滅びるかというミゾウユウの危機に、日本の財務大臣がこんなザマでは、世界中が呆れ果てて当然で、日本人みんなが肩身が狭い。
本人がド阿呆なのは勿論だが、周囲もマトモじゃない。体調不良でも急病でも、何でもいいじゃないか。白川っていう日銀の爺いにやらせておけば、少なくともこんなに恥を曝さずに済んだじゃないか。
誰が見ても異常だと分かる姿を、オバカテレビはほんの数秒間映すだけで、肝腎なことは何も報じない。日刊ゲンダイか週刊新潮が出るまで、中川昭一が、何時から何時まで、何を何杯呑んでどういう状態だったのか分からないというんだから、大新聞もオバカテレビも当然のことだが間もなく潰れる。

自民党も潰れるし、公明党も相撲協会もみんな落ち目になる。
存在理由の希薄なものは、この御時勢ではもう生き残れない。いい気味だ。
 

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