第81回 『ホシノ・ジャパン』

全日本チームに、「ナガシマ・ジャパン」とか「ホシノ・ジャパン」なんて、監督の名前を付けて呼ぶようになったのは、いつからだろう。
俺は、ただ「全日本チーム」とか、「オールジャパン」でいいと思うのだが、これは爺いの妬みだと思われると業腹なので、ホームページには書くけど他では書かないと決めている。
この歳になると、誤解に対して弁明するのも、鬱陶しい。
なぜ俺は全日本チームに、監督の名前を付けるのが嫌いなんだろう。理由を考えて突き止めるのも気が進まないから、うっちゃってあるが、俺は好きじゃないから自分では決してこんな言葉は遣わない。
テレビが囃し立てることは、ヨン様でもハンカチ王子でも、小池百合子でも好きになれない俺だが、スポーツはそもそも好きだから、始まるとつい見てしまうのがオリンピックだ。
高橋尚子が勝った時には、俺も感動してポロポロ涙を零した。
俺が泣くくらいだから、日本人はオリンピックが選挙より好きだ。
だからピンポンやリュージュや、カーリングでも大興奮するのが可笑しい。
俺は、自分のスマッシュが決まった時ではなく、相手のミスでポイントを獲った時、あの小さな日本娘が「ピャー」みたいな、奇声を発するのが堪らなく嫌で、ピンポンは自然と見なくなった。
やられた相手は腹が立つのに決まっている。
なぜ、コーチや年長者はあの失礼な奇声を、これまで誰も止めなかったのだろう。
ソリの上に寝そべって、ビュンビュン滑るだけのリュージュは、きっと体重の移動とか、コースの微妙な採り方といった極く繊細な技術が、勝敗を分けるのだろうが、見ている門外漢にはそれが全く分からないから、これもまるで面白くない。
ボブスレーもテレビで見ていたのでは、リュージュに毛が生えたようなものだが、映画の「クール・ランニング」はとても面白くて、感動的だった。

サッカーと野球は、本来とても強い国が、最強チームをオリンピックには送って来ない。
これは、サッカーには“ワールドカップ”、野球には“ワールドシリーズ”があって、その権威を守る為に最強チームを編成しないのだ。
サッカーは年齢制限を設けたり、いろいろ中途半端なことをやって、強い国から最強チームを来させないようにしている。
アメリカの野球チームは2Aの選手がせいぜいで、A・ロッドもボンズも、MLBのスタープレーヤーは誰も出ない。だから星野仙一が監督の全日本チームにも、イチロー、両松井、松坂それに斉藤といったメジャーリーガーは、加わってはいないのだ。
プロとアマチュアの垣根が取れても、ボクシングとサッカー、それに野球も、他にもっと権威の高い世界があるから、オリンピックの金メダルを、日本みたいに欲しがらないし、過大に評価することもない。
ここの所を日本のマスコミは報じないで、特にオバカテレビは、ここぞとばかり煽り立て囃しまくるから、日本人の価値観が歪みっぱなしになる。出場する選手たちにケチを付けるわけでは勿論ないが、俺にとっては「ホシノ・ジャパン」なんて「ヨン様」か「小泉チルドレン」と同じだ。
アメリカのメジャーリーガーが出ないオリンピックで、金メダルが獲れなければ恥ずかしいだろう。
野口みずきがマラソンで穫る金メダルより、野球の金メダルはずっと小さくてもいい。 


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