第76回 『出口調査なんかいらない』

俺は選挙狂だから、今回の参院選も夜の八時から東の空が白むまで、ビールも呑まず、ってことは素面で、テレビを見ていた。
いつも思うのだが、出口調査というのはいらない。何の必要があって、あんなことをやるのだ。

日本のテレビは本当に、詰まらないことに余計な経費を掛ける。あんなことに経費を掛けるのなら、他にやることがいくらでもあるはずだ。
俺が怪しいと目を付けている、急に増えた期日前投票のカラクリを調べたほうが、ずっといいと思う。手続きが以前より簡単になったので、一千万人にも増えたというのだが、俺はそんなことは聞いた途端に、怪しい気配を察してしまうのだ。
なぜ急に、期日前投票の手続きを簡単にするんだ。俺はこれまでに何度も、以前は不在者投票と言っていた事前の投票をしているが、そんなに面倒な手続だと思ったことはない。
それをわざわざ簡単に変えるというんだから、それだけで充分怪しいのだが、テレビ局の奴等はみんな丸川珠代とおなじような連中だから、選挙なんかやったことがないんだ。 選挙管理委員会は役人で、役人がわざわざ変えることには、それだけの理由か事情がある。

俺は以前、衆院選で特別養護老人ホームの爺婆が、バスで不在者投票に行くのを見た。
看護士が付き添って、その時は自民党の候補者の名を、投票用紙に書かせるのだと言う。人権だ何だとうるさいから、付添人が爺婆の手を握って書いても、立会人は何も言わないらしいのだ。
つまり老人ホームの爺婆は、ホームの理事長の思い通りの投票をするということだ。これで、面倒臭くなんかなかった不在者投票を、誰がもっと簡単にしろと圧力をかけたか分かる。
俺は期日前投票は怪しいと思っているから、今回飛躍的に増えたとテレビの女子アナが嬉しそうに言ったのを聞いて、女房殿に「嬉しそうにアナウンスするようなことじゃない。このオバカ娘が……」と言ったのだが、説明したのに女房殿は、俺の懸念が分からない。

日本のほとんどの人が、そうなのだ。悪事の匂いや可能性を、考えようとはしないカタギなのだ。俺は、自慢じゃないけどスレッカラシだから、期日前投票の急増を、娘アナウンサーみたいに喜ばない。
むしろ、いつの時点で期日前投票の分が加算されるのか知らないが、出口調査があてにならなくなると思った。期日前投票の分から先に開けるなんてことは、多分ないだろうと思う。
テレビの前に坐った俺は、ただ自民党と公明党が負けることだけを念じた。俺は無神論者だから祈る神がない。だから念じたんだ。
自民党には友達が多いのだが、俺は反権力を唯一、旗ジルシにしている。とにかく権力が俺の敵なのだ。

それにしても、テレビが喜んでやるものは、みんな下らない。この出口調査も本当に下らない。俺は一度も訊かれたことがないし、大勢いる友達だって一人も、出口調査なんかやられた奴がいないんだ。
開票率ゼロパーセントで当確なんか打って、恥をかけばいい気味だと俺は思う。
 

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