第75回 『アル・ゴアの不都合な真実』

今回の「あんぽんたんな日々」は、いつもと文体を変えて、「です。ます。」で書くと俺は決めた。
今回は読者の皆様に、「どうぞ、僕の言うことを聞いてください」と、初めてお願いするのだから、文体を改めなければ聞いていただけないだろうと思う。

元アメリカ副大統領のアル・ゴアのドキュメンタリー映画「不都合な真実ーアン・インコンヴィニエント・トルース」のDVDを借りて来た僕は、ビールも呑まずに食い入るように、滅多にはしないほど、いえ出来ないほど真面目に見詰めたのです。
本当に、滝クリやソニンのヌードだって、こんなに真剣には見なかったと思います。
共和党のブッシュ現アメリカ大統領に、フロリダで怪しげな投票の操作をやられて、大統領の座を盗まれたアル・ゴアは、その後、温暖化による地球と人類の危機を訴えるスライド講演をしながら、世界中を回っていたのです。
フセインが大量破壊兵器を持っていると、嘘を言ってイラクと戦争を始めたブッシュ大統領とは、志と知的レベルに大差があります。 アル・ゴアは、自分でキャスターの付いたバッグを引っ張って、この問題を訴えに世界中を忙しく飛び回っていて、僕が見たフィルムでは、少なくとも秘書や鞄持ちやボディガードにバッグを持たせて、自分は手ぶらということはありませんでした。
同じ年頃の日本の役人や政治家で、空港で自分のバッグを提げている奴なんか、一人も見たことがありません。
映画だからそうしているのかも知れませんが、僕はもう既に熱烈なゴアファンですから、普段でもそうしているのだと信じているのです。古稀の爺いが、まるで女学生のようだと、嘲笑なさる方は、なさってください。

僕はゴアの「不都合な真実」を、食い入るように見てそして信じたから、普段と文体を丁寧に代えて、皆様にお願いしているのです。 ゴアは僕のような男にでも分かる、平易な言葉を撰んで、根気よく熱心に、地球温暖化が危機的なレベルに達していることを説きました。
信じられるデータを示して、元アメリカ副大統領は懇切丁寧に、政治家ではなく研究者か穏やかな教師のように、地球と人類の危機を教えてくれたのです。
僕は野球とジャズとハリウッド映画が好きな、日本では少なくなった“アメリカン・ボーイ”でした。過去形で、「……でした」と書いたのは、もうボーイではないからです。
フィルターの付いていなかった両切りのキャメルと、分厚いカットのプライムリブ、それにリタ・ヘイワースが大好きだった少年は、ハゲでデブの爺さんになりました。
これ以上、大気中のCO2の濃度を高め、北極と南極の氷を溶かし、シベリアのツンドラが消滅したら、人類は滅亡します。
「そんなことは、どうせ先のことだ。俺の、あたしの生きている間は大丈夫でしょうよ」なんて、言っていられる事態ではないと知って、僕はこうして皆様にお願いしているのです。
政治的にも経済的にも“不都合”なことが多過ぎて、政治家や企業はこの問題を無視するか、先送りしてきました。政治が動かなければ、ニュースも通りいっぺんの報道しかしません。でももう待ったなしの状況だと、ゴアは強く訴えています。

どうぞ、お近くのビデオ・レンタルショップに行って、「不都合な真実」を御覧になってください。
この映画の最後に、「御覧になった方が、今すぐ出来ること」というのがあって、「燃費のいい車に代えることと、この映画を見ることを他人に勧めること」とありました。
だから、僕はこうして皆様に、どうぞ「不都合な真実」を御覧になってくださいと、お願いしているのです。

 

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