第71回 『天才的発想』

変なコンピューター屋の文章だが、CNN.comの報じたニュースを、そのまま載せるから読んで欲しい。

“百歳まで存命の勝負で約6百万円獲得、賭け屋歯ぎしり”
と、これがタイトルだ。なんて下手なコピーだと思うのだが、俺が書いたのではないのだから、仕方がない。

“ロンドン・英国の元男性技師が24日、100歳の誕生日を迎え、10年前に同年齢まで存命するか
で賭けをしていたブックメーカー(賭け屋)から2万5000ポンド(約593万円)を勝ち取った。
ロイター通信が報じた。
ロンドン南西部に住むアレック・ホールデンさんで、かゆを食し、チェスを楽しむのが長寿の秘けつと披露している。
同氏は十年前、賭け屋のウイリアム・ヒルに100ポンドで勝負を挑んでいた。
敗北した同社は「10年前は、100歳までの延命は神秘的な事としか思っていなかった。
だから、倍率を大きくした。大損となった」と悔やんでいる”

非道い文章だが、これは全てママで、何も手を加えていない。
自慢じゃないが俺は、ほとんど同じ発想を半世紀も前に、提案している。
麻布中学で同級だった桐谷君が、自殺したのは、確かハタチぐらいの若さだった。
今はもう、すっかり慣れたが、その時は初めてだったので、お葬式に集まった同級生たちは、皆ポロポロ涙を零した。
俺はその時、今、思い出すと、革命的な提案を同級生にしている。
「みんなで100万円の生命保険に入るんだ。掛け金なんかほんのハナクソで、いくらでもない。
そして八十歳になった年に、生き残った者が分けることにすれば、お弔いが湿っぽくならずに済む」
仲間の葬式の度に、「一人減ったホイ」で陽気になろうじゃないかと、俺は革命的なド素晴らしい提案をしたのだ。
麻布中学の同期は二百五十人だったが、七十歳の今日、百九十人ぐらいに減っている。
八十歳の、生き残り払いというのは、実に素晴らしい提案だったと、ここまで生き延びた今つくづく思う。
もし二百五十人全員で、百万円の生命保険に入っていたら、橋本龍太郎の葬式も、もっと違った雰囲気になっていただろう。
タラとかレバの話は虚しいが、この革命的な提案を、
「八十になって、アベと二人だけ生き残ったら、と思うと、その怖ろしさに身の毛がよだつ」と言って、
反対した奴がいたのが口惜しい。
こんなバカがいるから、仲間の葬式の度に、次ぎは自分かと憂鬱になるんだ。バァロ。


目次へ戻る