第51回 『やっぱ、プロ野球だね!』

3月25日

蒼井そらちゃんや滝川クリステルちゃんが、何か言っても、俺は絶対にこのことに関しては迎合したりするものか。
俺はサッカーより、終わったばっかりのフィギュアスケートよりカーリングより、断然プロ野球が好きだ。
細かいことを言えば、好きなのはただの野球ではない。プロ野球が、俺は好きなんだ。
女優が好きなんて雑駁なことを言うと、泉ピン子まで好きだと思われてしまうから、誤解を防ぐためにはプロと片仮名でふたつ、野球の前に付けなければならない。
なぜ、最近若い連中に人気がいいサッカーが、プロ野球ほど面白くないのか、俺もデイリースポーツでかれこれ十八年も専属をしている男だから、真剣に考えてみたことがある。
夜中は拳銃なしでは怖くて歩けないような、埼玉の草深い所にあるサッカー場まで、わざわざ行ってみたんだから、俺は真面目で律儀なんだ。
何を唱える時でも、俺は実際に自分で見たり聞いたり経験してから、よく考えて発言することに最近はしている。
今はそう心掛けているから、大騒ぎにならずに済んでいるのだが、ちょっと前まではいろいろアチコチでトラブルを起こした。
しかし、こんなことは面倒だし、一文の得にもならないことがほとんどだから、最近はよく考えて、クソでもミソでも舐めたりしないように俺はしている。つい先週も、よく考えてから、「俺は青い芋虫みたいな猪口女大臣は嫌いだ」と、週刊誌の連載で吠えた。

埼玉までわざわざ行って、よく考えたのだが、やはりサッカーはプロ野球より面白くない。なぜサッカーは、プロ野球に比べて詰まらないのか。
サッカーには観客が推理する楽しみが、極端に少ないからだ。サッカーを見ている人は、選手が次にどんなプレーをするかなんて、考えていないらしい。
プロ野球では投手が一定の間隔で投げるから、その間に観客は次のプレーを、あれこれ推理する。
サッカーには、そんな時間がないんだ。
プロ野球では攻撃側にも守備側にも、考えることは無数にあるから、観客も次のボールは速球か変化球か、ストライクか外したボール球か、打者は待つかヒッティングかと、想いを八方に巡らす。それが楽しいんだ。
恋でも何でも、自動的なものより考えてすることの方が、断然面白い。
これはプレーする選手ではなく、観客サイドの俺の結論だ。
最初に俺は、野球じゃなくてプロ野球が好きだと、特定したのは何故か。
他の野球好きなオッサンや爺様たちは、真摯なプレーをする高校野球が好きだと言う人が多いのだが、俺は違う。
高校野球は下手だから、俺は興味がない。
しかし、プロ野球にも文句は一杯ある。この頃の日本のプロ野球は、モタモタノソノソしていて、四時間以上もかかる試合が多いのには閉口している。
サッカーは試合時間は九十分だから、その点だけは優れている。上戸彩ちゃんと一緒でも、四時間は長過ぎてアクビが出ちまう……かもしれない。
それを阿呆な巨人の監督は、「巨人愛」なんて今どき女子中学生でも言わないバカなことを言って、四時間半でもやるって言うんだ。
好きなプロ野球のことだから、つい長くなってしまったけれど、もう十行だけ書く。
カリフォルニアでやったWBCでの全日本チームの野球は、俺がウットリして涙ぐんだほどすばらしかった。
クールなイチローが闘志を剥き出しにし、松中が猛然と走り、川崎がホームベースを右手で触れ、福留が代打でタイムリーを打ち、
前の日エラーをした今江が男になった。
俺はプロ野球の面白さに、久し振りに浸った。気合の入った商売人の野球は、時間を忘れさせる。
アメリカ人の描いた強引で尊大な絵図が裏目に出たのも、俺には嬉しくて堪らないんだ。
これで、竹中平蔵と猪口青芋虫女が退治されれば、盆と正月が一緒に来たようなことなんだが……。


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