第47回 『2006年こそ……』

正月元旦  
今年から年賀状は、暮れに書かずに元旦の朝、書くと決めたから、例年のように午前中から酔っ払ってしまうわけにはいかない。  
仕事部屋のボードに、03年から今年までの俺の写真入りの年賀状が四枚貼ってあるのだが、去年までの三枚に比べて断然、今年の俺の写 真は爺い面なのだ。  
ヨボヨボの陸亀みたいな顔をしている。  カラパゴスの“ロンサム・ジョージ”という、百年生きているという陸亀にクリソなのだ。  
ヒトの顔は、犬面・猿面・魚面それに虫面に分類できるのだが、俺だけが老いて、新種の亀面 に変わったらしい。  
日本人は老いると、ほとんどが猿面か虫面になるというのは、自民党の国会議員を見ると誰でも納得するのだが、なぜか俺だけ陸亀になった。  
若い頃ハンサムだった男は、ブラピもヨン様も六十八歳になると、亀面になるのに違いない。  
新年早々、不公平なことはしたくないので、犬面は片山さつき議員と猪口女大臣、猿面 は鈴木宗男議員、魚面はマイク・タイソン、これはハタに似ている。
それに虫面はバッタに似た福田康夫議員と書いておく。  

一年の計は元旦に有り。というから、俺も人並みに今年の計画をここに書いて、明らかにしておく。  
今年こそ、猫を一匹拾う。  
ペットショップで買う気はテンからない。  
上戸彩ちゃんみたいな可愛いのがいいのだが、御縁のもんだから朝青龍みたいなのでも、俺は大事にする。  
出来たらすぐにでも、アルコール度数が倍ぐらいあるビールを見付ける。
たしかイギリスにポーターズって名前のがあった。  
今、手に入るビールは弱過ぎて、ゲップばかり出ておなかがタプタプする。  
永く研究を続けていて、普通のビールにウイスキーを入れたり、黒ビールに癖のない甲類の焼酎を割ったりいろいろやってみたのだが、どうにも満足の行くのが出来ない。
どなたか良い手を教えてくださらないか。  

春になったらベランダに、鉢植えの山つづじを置く。  
夏になったら今年こそ、海か湖でバチャバチャ泳ぐ。もう十五年も海で泳いでいないのだ。このままだと俺は、間違いなくクロールもブレストも、それにバタフライや犬掻きだって忘れてしまう。  
滝川クリステルちゃんちのバスタブで、溺れたりしたら御迷惑に決まってる。  
秋になったら俺は自分で運転して、岩手県のリアス式の海岸を見に行く。  
一昨年も去年も、はっきり書いておかなかったから、行けなかった。  
ホヤを網の上で、サッと炙ったのが旨いんだ。俺は旨い肴と酒に、いい女が惚れてくれれば、何処へでも飛んで行く。 不精なんかするもんか。  
熱気球には五年前に乗ったのだが、今年はサーフボードかハングライダーに乗ってみたいのだが……。
はっきり書いておくわけにはいかない。
多分、無理だと諦めているんだ。 
そして暮れには西安に行って、兵馬俑を見る。
俺は権力者がやった壮大な無駄が、自分の目で見てみたいのだ。  

今年の五月に俺は、六十九歳になる。  
少年課の刑事に追いかけられていたのは、ついほんのちょっと前だったのに……。  。


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