第46回 『やくざより悪い奴等』

12月4日  
六十八歳の俺は怒る気力も失せて、ほとんど虚脱して酒を呑んでいる。  
無視しようとしても、テレビのニュースから日刊ゲンダイまで、みんな姉歯とやらの宮崎勤ヅラが嫌でも目に入って来る。   
夜の11時半になったので寝酒を呑みながら、大好きな滝川クリステルちゃんにテレビのチャンネルを合わせたのだが、綺麗で素敵な眉を顰めて、「耐震強度偽装問題は……」なんて言いだしたので、俺はもう死にたくなった。  
どうせ役人共と自公政権の政治屋共が、散々儲けて、バレた後の尻拭いを俺たちが納めた税金でするのだ。  
国鉄でも銀行でも、みんな同じだった。  強欲で残酷な政治屋と官僚は、俺たち納税者をトコトン餌食にする。
奴等は本来、幸せと平和を考える人たちだと、俺は六十年前に麻布小学校で教わったのに、現実はまるで極端に違う。
麻布小学校で一年後輩だった与謝野馨も聞いていたはずなのに、自分が大臣になると巨きな勲章を貰うことだけを考えるから、ダメを通 り越して人でなしなのだ。  
役人と政治家は国民の幸せなんか想うどころか、ネロみたいなサディストなのだから、俺たちが幸せになれるわけがない。
だからこんなニュースは、俺が気に入っているクリステルちゃんが、顔を曇らせてやらなくてもいい。
詰まらないNHKか日本テレビのオバさんアナが、地顔の白塗りでやればいいんだ。  

けどしかし、日本の有権者はマゾヒストだと、俺は思う。   
駱駝を叩くベドウインの鞭で、小泉チルドレンのピンクの背広を着た婆さんにひっぱたかれて、片山さつきに太くて赤い蝋燭をポタポタ尻と背中に垂らされて、元上智大学の女教授にハイヒールで踏まれたいんだ。  
そうに違いないと、俺は思っている。  
天皇陛下の娘さんと婿の都庁の役人が、住んでいるマンションは大丈夫なのか。
震度五弱で潰れたら、北側国交大臣は切腹するに違いない。  
鉄筋がろくに入ってないマンションを、買ったというより掴まされた市民は、本当にお気の毒だ。  
結局、宮崎勤みたいな建築士がスケープゴートにされて、実刑判決を喰らって前科モノになり、この騒ぎは終わる。
役人と自公政権の政治屋共は、週刊現代を買って片手に持って、空を見上げている。
週刊現代には、グラビアに地震雲が載っているからだ。  
関東大震災が来てくれれば、マンションはみんな倒れて、北側大臣だけ切腹して皆、一件落着で大きな勲章と巨額の年金が貰える。  
子供を役人か政治屋にしない親は、ただのサドマゾじゃなくてアホバカだ。  
日本では、野球の選手やパイロットや医者になるより、役人か政治屋になる方が断然お得に決まってる。  
悪いことをしたから宮崎勤は死刑判決を喰らったが、同じほど悪いことをしても、役人と政治屋は、死刑はおろか懲役にも行かない。  
それでも日本の有権者は、選挙のたびごとに嬉々として同じような悪者を選ぶ。  
これは騙されているんじゃなくて、非道い目に遭わされるのが好きなのか、サディスト共の片棒を担いでいるんだ。
アホバカの杉村太蔵も、尊大な片山さつきも、いずれ悪くて強欲無残な政治屋になるに決まっている。  
考えると落ち込むばかりだから、もう三杯呑んで寝よう。  
生酔いだとこの国では、眠ってからも悪夢に苦しめられる。
なんていう非道い国だろう。


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